時をかける少女(1983)
ひとが、現実よりも、
理想の愛を知ったとき、
それは、ひとにとって、
幸福なのだろうか?
不幸なのだろうか?
この意味深な詩で始まる、大林宣彦監督の出身地尾道で撮影された、「尾道三部作」のひとつ。
スキー場の満天の星空の下、芳山和子(原田知世)が星の向こうから素敵な王子様が来ないかなぁ、とロマンに思いを馳せる。これに対して、吾朗(尾美としのり)が星なんてものは単に水素や酸素みたいな元素がガス状になって燃えているだけ、と極めて非情で現実的な返答をする。そこに謎?の同級生・深町(高柳良一)が現れ、和子と同じく星空の綺麗さにロマンティックなセリフを言う。
新学期が始まり、掃除当番を任された和子・吾郎・深町だが、和子は理科教室の不審な物音を聞きフラスコから湧き出す煙を吸って倒れてしまう。無事に帰宅した和子だが、奇妙な夢を見るが、それがデ・ジャヴであることがわかってしまう。
偉大なロマンティストである友人が私に指摘した通り、女の子は常に乙女心を満たされたいらしい。和子の冒頭のシーンでのやりとりは男女間の認識の違いをうまく表現していると感じた。また、大人にはなりきっていない思春期の女の子が特別な能力を持つというのは宮崎駿の作品にしばしば登場するモチーフである。古代にクレオパトラや卑弥呼が統治を担ったように、やはり女性には(ヒステリーはかつて女性特有のものと考えられたらしい)特別の能力があるのかもしれない。時空や記憶は絶対的なものでないようなSFを書いた筒井康隆の世界観はおもしろいと思いました。松任谷由実作詞・作曲の主題歌も作品を引き立てている。
余談だが、ひょうきん族でアミダババアが「時をかけるババァ」というパロディをしてました。
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